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運営記録

「放置で月85万」の設計図を検算したら、AIに嘘をつかせるプロンプトが1つ混じっていた

2026-08-09

10万回以上再生されている記事を読みました。Claudeで案件をリサーチし、ストック記事を書き、LINEステップ配信を組み、Pinterestに放置する——それで月85万円、稼働は週3時間、という内容です。

プロンプトが3つ、そのまま公開されていました。中身のある記事です。だから電卓に載せました。

まず、算数が合っている部分

内訳はこう提示されています。

経路月額
継続報酬アフィ30万円
ストック型記事アフィ25万円
LINEステップ配信20万円
Pinterest放置流入10万円
合計85万円

足し算は合います。個別の計算も合っています。「1件月額980円の報酬 × 平均継続14ヶ月=約14,000円の生涯価値」は 13,720円で、丸め方として妥当。「LINE登録200人 × 成約率10%=20人 × 1件1万円=20万円」も計算どおりです。

ここは疑うところではありません。

引っかかったのは、足し算のほうです

この4つは、並べて足せるものでしょうか。

継続報酬アフィは「報酬の種類」です。ストック型記事とLINEとPinterestは「読者が来る経路」です。

ストック記事を読んだ人が継続報酬案件に申し込んだら、それはどちらに数えるのでしょう。LINEステップ配信の成約先が継続報酬案件だったら。Pinterestから来た人がストック記事を読んで成約したら。

種類と経路を同じ列に並べて足すと、同じ1件が二度数えられます。

これは意地悪な指摘ではありません。私たちも同じ間違いをします。この運用でも、検索の表示回数を「クエリごとの合計」と「ページごとの合計」で出したら、同じ期間の数字が3倍以上ずれていたことがあります。切り口が違うものを足すと、合計は意味を失います。

ここは記事の書き方の問題で、実績そのものを否定するものではありません。ただ、この内訳をそのまま自分の計画のテンプレートにすると、達成できない目標を立てることになります。

同じ記事の中で、稼働時間が食い違っている

本文にこうあります。

僕が能動的に動いているのは、週に5時間ほどです。

そして数段落あとに、曜日ごとの内訳が出てきます。月曜30分、火曜1時間、水曜30分、木曜30分、金曜30分。土日は完全オフ。

合計、週3時間程度です。

週5時間と週3時間が、同じ記事の中に並んでいます。

どちらかが正しいのでしょうし、書いているうちに数字が動くのは普通のことです。私も今日、別の下書きで「45cm」と「0.5m」を混同して書きかけ、公開前に直しました。

ただ、この記事は**「作業時間の少なさ」が主題**です。主題の数字が本文内で一致していないことは、読む側が気づいておいていい点だと思います。

ドルと円が混じっている箇所

1件$30/月の案件を100件成約すれば、それだけで月30万円が"何もしなくても"入ってきます。

$30 × 100件 = $3,000/月です。1ドル150円なら約45万円。 月30万円になるのは1ドル100円のときです。

おそらく「$30」は「3,000円」のつもりで、記号が滑っただけでしょう。実害のある間違いではありません。でも、通貨記号が滑る記事の数字を、そのまま自分の計画に写すのは危ないとは言えます。

本題:プロンプト①が、AIに嘘をつかせる構造になっている

3つのプロンプトのうち、案件リサーチ用のものにこういう条件が並んでいます。

  • 1件あたりのLTV(生涯価値)が6,000円以上
  • 平均継続期間が6ヶ月以上
  • 解約率が20%以下

そして「各案件について表形式で」出力させます。

ここで手が止まりました。平均継続期間と解約率は、ASPが公開している情報でしょうか。

調べた範囲では、公開されていません。継続報酬の案件はそもそも数が少なく、ASPで「継続」と検索しても数件しか出てこないと書かれている解説が複数あります。そして継続率のような指標は、競争上の理由から広告主が開示しないことが多いとされています。パートナー向けに個別に共有されることはあっても、AIが学習できる形で世に出ている情報ではありません。

つまり、このプロンプトはAIに「存在しない情報」を表形式で埋めさせています。

AIは空欄を嫌います。「解約率」という列を作って20行埋めろと言われれば、埋めます。もっともらしい数字が入ります。そして、それが正しい保証はどこにもありません。

これは私が一番怖いと思う型です。表になっていると、人は検算しません。数字が並んでいると、調べた結果に見えます。

このプロンプトを使うなら、解約率と平均継続期間の列は消したほうがいい。 消さないなら、出てきた20件の数字を1件ずつASPの管理画面で確認する必要があります。それをやるなら、AIに聞く意味は半分になります。

なお、この記事は「Claudeが主役な理由」として3つのAIを比較していますが、どう比較したかは書かれていません。 同じプロンプトを投げたのか、何本書かせたのか、何をもって「体温がある」と判断したのか。私たちの基準では、これは「測っていないことを成果として書く」に当たります。

Pinterestの月10万円は、方法が書かれていない

Pinterestからの放置流入で月10万円、とあります。

Pinterestは、アフィリエイトリンクを直接貼ること自体は許可していますが、プログラムによっては禁止されており、開示(アフィリエイトリンクを含むと明示すること)も求められます。過度な自己宣伝はスパムとして扱われます。

実務としては「Pinterest → 自分のブログ → アフィリエイト」の流れが推奨されています。でもそれだと、収益は「ストック型記事アフィ」に計上されるはずです。 ここでも二重計上の疑いが残ります。

それでも、この記事から学べることが3つあります

叩いて終わりにしたくないので、取り込む側も書きます。

1つ目、継続報酬(LTV)で考える視点。 1件いくらではなく、1人がどれだけ続くか。私たちは1地点1,980円の単発商品を作っていますが、「その人が来年もう一度必要になるか」を設計に入れていませんでした。 ここは持ち帰りました。

2つ目、ストック型とフロー型を分ける。 時事性のある記事と、時間が経っても読まれる記事を混ぜない。この分け方は正しいと思います。私たちも「連載=ブランド面」「実務メモ=検索面」で分けていて、混ぜたときに失敗しています。

ただし「時事性を排除すればGoogleが評価し続ける」という因果は、Googleが言っていることではありません。新しさが効くクエリと効かないクエリがあります。分け方は有効ですが、理由づけは推測です。

3つ目、失敗を3つ書いていること。 時事記事に寄りすぎた、LINEを送りすぎた、Pinterestを手動でやっていた。この3つが書かれているだけで、記事の信頼度は上がります。私たちが「失敗と訂正を消さない」と決めているのと、同じ効き方です。

結論

内訳の足し算に二重計上の疑いがあり、稼働時間が本文内で食い違い、通貨記号が滑っていて、案件リサーチのプロンプトはAIに存在しない数字を埋めさせる構造になっています。

それでも、継続報酬の視点とストック型の分け方は本物です。設計思想は使えて、数字はそのまま写せない。 それが読み終えたときの結論でした。

念のためもう一度書きますが、私の第三者売上はゼロです。この記事は「あちらが嘘つきで、こちらが正しい」という話ではありません。表になった数字を見たときに、自分で電卓を出す癖をつけるための記録です。

同じ電卓を、私は自分の事業計画にも当てています。当てた結果、月10万円に必要なクリック数が現状の95倍だと分かって、計画を書き直しました。その話は別の記事にあります。

ナオTRYZM管理人

AIに関わるPMで、夜はAIで作って試す人。囲碁では布石が好き(何もない盤面に構想を描く時間)。 嘘をつくと自分があとで気にして引きずるタチなので、報酬が入らないプランでも一番ならそのまま書きます。 守れるルールは3つ — 盛らない。順位を売らない。試せないことも、徹底的に調べて正確に。